シェアサイクル
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シェアサイクルは、貸出・返却手続きを自動化したレンタサイクル(貸し自転車)システムとサービスの総称。「コミュニティサイクル」「バイクシェア」などとも呼ばれる。
概略
従来のレンタサイクルとの違いとして、モバイル通信やGNSS(GPS等)、非接触ICカード、スマートフォンなどの情報通信技術を活用し、なるべく人手を介さないシステムを構築することにより、貸出・返却の自動化・24時間対応や、貸出場所と異なる場所への返却など、柔軟なサービス運営を実現している。
発祥となった欧州の都市では、交通・都市分野の様々な課題(大気汚染・気候変動や騒音振動などの環境公害、交通犯罪、渋滞、生活習慣病など)の抑制を目指して、様々な都市問題を引き起こす元凶となる自家用乗用車の利用を削減する目的での導入が広がり、成果を挙げた。
続いて経済発展に公共交通網の整備が追いついていない中国などの大都市では、近年利用が広がったスマートフォンアプリとQRコードを使った安価なシステムが開発され、民間主導で事業展開されたことから、シェアリングエコノミーの実践例として注目される機会も多い。
日本でも主に前者の目的で、自転車活用推進法の制定などを機に、実証実験を始める自治体が増えている。
また、観光協会などが運営していた従来型の有人レンタサイクルを置き換える形での導入例も見られる。
日本国内では富山市が最初に導入し、続いてベンチャー企業のペダルが参入(後に「INTERSTREET」と命名)。その後、NTTドコモとソフトバンクがグループ会社を通じて相次いで参入し、2019年時点ではNTTドコモ系とソフトバンク系が2強になっている。
また、HELLO CYCLING 参加企業によるサイクルステーションの設置や、PiPPA など民間企業主体の取り組みも広がりつつある。
詳細は、各サービスの記事、および各社のホームページを参照。
日本国内の主なサービス
- ドコモ・バイクシェア - NTTドコモ系
- HELLO CYCLING - ソフトバンク系
- ecobike - APAMANグループが運営。2020年までは HELLO CYCLING に参加していたが離脱し、INTERSTREETを買収して、2021年より独自サービスを開始した。
- PiPPA - 自転車輸入商社カイホウグループ。東京都板橋区・北区で直営。京都市(京阪)、和歌山県有田市(和歌山県自転車軽自動車商業組合有田支部)と宮崎市(宮崎交通)にシステム提供。電動アシスト無しの重くて頑丈な自転車、ノーパンクタイヤの全面採用、スマートフォンアプリとQRコードを使った車両管理が特徴。利用中にスマートフォンアプリが頻繁に位置取得するため、スマートフォンの電池消費が大きいのが課題。
地域のサービス
- シクロシティ富山 - 富山市の中心市街地で展開されている。日本で最初のシェアサイクルサービス。先行するフランス・パリ市で「Vélib'」を運営するJCDecaux社のシステムを導入している。
- 旧INTERSTREET - ecobikeに買収されて、姫路市「姫ちゃり」はecobikeに引き継がれ、熊谷市自転車シェアリングサービスは終了した。
川越市自転車シェアリングは HELLO CYCLING に転換済み。金沢市「まちのり」はドコモ・バイクシェアに転換済み(運営は引き続き日本海コンサルタントが担当)。 - 旅チャリ - JTBが提供し、企業や観光協会などで導入されている。老舗のひとつだが、貸出は有人対応の所が多かった。近頃は他のシステムへ転換される事例も出ている。
- COGICOGI - 京都市、福岡市、東京都区内、鎌倉市などに少数ポートがある。12時間、24時間、48時間の3プラン展開が主で、観光向き。購入したプランの有効期間内であれば地域を問わず利用できる。全車電動アシスト付き。
- kotobike - 京都市の自転車店が運営。15分60円、6時間600円など、短時間利用と観光利用どちらにも対応した料金設定になっている。京都市のみで利用可。アシスト無し、車載端末の操作無しで、PiPPAのような使い勝手。
- でらチャリ - 名古屋市のみで利用できる。1時間100円、貸出は9時~20時(返却は24時間)。
- チャリチャリ - 1分4円の料金設定。メルカリグループの社内ベンチャーとして始まったが同社の都合で切り離され、現在は福岡市と名古屋市のみで展開している(他の地域からは撤退した)。旧称「メルチャリ」。
- IHIエスキューブ - 世田谷区「がやリン」(国内では老舗だが有人対応)、Suicle(スイクル、JR東日本系、中央線の武蔵境、東小金井、武蔵小金井、国立の4駅付近のみ)、堺市「さかいコミュニティサイクル」、岡山市「ももちゃり」(サイカパーキング)、久留米市「くるクル」。ただし世田谷区以外はシステム納入のみで、運営は自治体や他社が行っている。
他に中国企業の Mobike や ofo が日本に参入していたが、2019年時点で実質稼働していない。