山形鉄道フラワー長井線
この記事は、最終更新日よりおよそ 4 年 11 ヶ月経過しています。 公式サイトなどで最新情報を確認してください。(最終更新:2019年8月) |
📅 | 筆者の最終訪問時期:2019年夏 |
本稿は、2019年夏、またはそれ以前の情報です。 山形鉄道フラワー長井線へ訪問の際は、予め公式ホームページなどで最新の情報を確認してください。 |
山形鉄道(やまがたてつどう)フラワー長井線(ふらわーながいせん)は、赤湯駅(山形県南陽市)から荒砥駅(山形県西置賜郡白鷹町)までを結ぶ鉄道路線。全線単線・非電化。旧国鉄長井線。
沿線風景
南陽市
赤湯駅はJR奥羽本線・山形新幹線とつながっており、温泉街のある東口をJRが、市役所のある西口を山形鉄道が担当しているが、西口の窓口は閉まっていることが多い。
山形鉄道のグッズ類は、東口駅舎内の売店「駅の駅なんよう」で販売している。
また、南陽市観光協会も東口駅舎に入っており、レンタサイクルも実施している(冬季を除く)。
赤湯といえば温泉だが、温泉街までは歩いて20分ほど。タクシーはあるがバスは無い。
南陽市役所は赤湯駅西口から歩いても10分ほどだが、フラワー長井線の南陽市役所前駅で降りれば目の前。
宮内駅には国鉄時代からの木造駅舎が残る。山形鉄道へ転換後はしばらく無人駅になっていたが、再び駅員が配置されるようになるとともに、白うさぎの駅長が就任した。列車が着くと駅長代理の駅員さんが手を振って見送ってくれるのも和む光景。
木造駅舎
西大塚駅は南陽市と長井市に挟まれる形で川西町内にあるフラワー長井線唯一の駅だが、旧国鉄長井軽便線の延伸開業時に建てられた駅舎がそのまま残っており、登録有形文化財になっている。
同時期に建てられた駅舎は宮内駅などにも残っているが、改装されず当時の面影を残しているという意味では沿線随一の古さ。
近隣のバス路線が集まる公立置賜総合病院の最寄駅(徒歩15分)でもある。
米坂線との交差
今泉駅はフラワー長井線と米坂線の共同利用駅になっており、JRが管理している。これも国鉄時代の名残なのだろうが、今泉駅を出ると1kmあまりにわたって単線の線路を米坂線と共用しており、白川を渡ってすぐの所にある信号場で分岐する。信号場には管理小屋があるが、現在は今泉駅に統合されて遠隔操作されている。単線の線路を4方向に共用していることもあって、当駅で交換待ちの時間が長い列車もある。
島式ホーム2面4線のうち、駅舎側の1面が長井線用、もう1面が米坂線用になっており、乗り換えは跨線橋を登って降りることになるが、すぐ隣なので通常は数分で乗り換えられる。
線路がつながっているのだから、同一方向同一ホームにして乗り換えやすいようにしても良いように思うが、今は会社が違うこともあってか、米坂線は駅員がホームまで出てきて改札しているので(長井線は車内改札)、そうした都合もあるのだろうか。
café dining SENN×タニタカフェ
café dining SENN×タニタカフェが2019年夏に南長井駅のすぐ前に開店。タニタの管理栄養士と共同開発した、山形県の食材を使ったメニューを提供しているという。 フラワー長井線に乗って行き、1000円以上食事すると、帰りの運賃無料券をもらえるコラボ企画を実施中。
ど田舎停車場の会
長井駅を降りると、小さな木造駅舎の中に旅行センターと売店があった。山形鉄道直営の旅行センターでは同社の企画券やグッズ類はもちろん、平日はJR券の取り扱いも行っている。
待合室には手作りの売店と休憩所が置かれ、「ど田舎停車場の会」が観光案内と土産物の販売、そば処を営業していた。市内で作った和菓子や漬物などに加え、生産日本一というけん玉も売っている。 さらに外では地場野菜の販売もしていて、近所の人たちが買いに来て賑わっていた。秋だったので新鮮な野菜がずらりと並び、松茸まで置いていて品数豊富。なるほど近所の人が贔屓にするわけだ。
そばを頂きながら話を聞くと、せっかく旅の人が訪ねてくる駅を空けておかず賑やかにしたいからと、地元の有志で切り盛りしているそうだ。土地勘もない旅人にとってはなんとも嬉しい話だと思って感心したものだ。
その2年後、再度長井駅を訪れたところ、「ど田舎停車場の会」の売店はもぬけの空になっていた。なんでも駅舎を市役所と合築にするため、駅舎ごと建て替えるのだという。それはまあ良いのだが、「ど田舎停車場の会」さんは新しい駅舎には入れてもらえず、駅近くの他の建物に移転したというので、寂しくなってしまった。
長井市役所は駅前をまっすぐ500mほど歩いた所にあり、今でもさほど遠くはないが、駅と合築にすれば市営バスなども集約できるし、駅を空けておかず賑やかにする意味でも良い方法だと思う。実際、他の地域でも駅前に公共施設を集めたり、合築にしたりする例はよく見かける。
でも、せっかく地元の駅や鉄道を大事に思う市民有志が続けてきた活動を途切れさせてしまうのはもったいない。駅が市役所と合築になってもやりようはあるのだから、ぜひ今までのように駅の中で売店を続けてほしいと思う。
というのは他所者の感想だが、地元の方々はまた別の視点を持っておられるようで、取り壊しが決まった駅舎を見に、記念撮影しに来る人を多く見かけた。町の中心にあり続けたかわいらしい木造駅舎に愛着を感じている人が多かったようだ。
筆者が最後に訪ねたのは2019年7月だが、その翌月にはすでに取り壊されて更地になっているようだ。筆者が次に訪ねる時には、市役所合築の新しい駅舎に降り立つことになるのだろう。
馬肉料理と白つつじ
長井市では馬肉料理を出す店をよく見かける。馬肉ラーメンに馬肉そば、馬肉カレーに馬肉スモーク。さらには「馬肉ラーメン肉まん」なるものまで出現していた…
馬肉ラーメンや馬肉そばを出す店は駅から歩いて10分圏内にあるが、営業時間に注意。
「馬肉ラーメン肉まん」は、駅前の道路をまっすぐ歩いて15分ほどの最上川沿いにある「道の駅 川のみなと長井」で食べられる。ここでは無料レンタサイクル「ながいくるん」も実施している。
また、駅から南東方向へ15分ほど歩くと「白つつじ公園」があり、その名の通り5月には白いツツジの花が見頃になる。すぐ近くには、かつて長井が舟運で栄えた頃の紬問屋の蔵を使った美術館「やませ蔵美術館」もある(開館日注意)。
ここまで来たら南長井駅まで歩いても大差ない。駅前のSENN×タニタカフェで食事するのも良いし、途中には長遠寺などもある。
あやめ公園
あやめ公園には野生種に近いとされる長井古種をはじめとする500種100万本のあやめが植栽されていて、花期には花見客で賑わう。
あやめ公園駅で降りるとすぐだが、長井駅から歩いても20分ほどなので、次の列車まで時間があるようなら歩くのも良い。
また、野川の対岸、羽前成田駅寄りには「はぎ公園」があり、初秋には萩の花を観賞できる。萩園は入園無料だが、隣接するスーパー銭湯「卯の花温泉 はぎ乃湯」が管理しているので、一声かけてから鑑賞しよう。線路沿いにあり、どちらの駅から歩いても15分ほど。
木造駅舎と花壇
ホームが花壇になっている駅がいくつもあるが、近所の人が手入れをしているようだ。
羽前成田駅にも国鉄時代からの木造駅舎が残っており、西大塚駅とともに登録有形文化財になっている。
ここでは市民団体「山形鉄道おらだの会」が駅舎や花壇の手入れをしている。手入れといってもここは本格的で、職人が集まって改築までしてしまうのだそう。
列車から見るとホーム一面の花畑で、旅人を楽しませてくれる。外から見るときれいに手入れされた駅舎は乗客に安心感を与える。ついでに、駅ノートに書き残すとそのうちwebでも紹介される:-)。地元の人たちに愛されている様子が伝わってくる。
荒砥
公民館と合築の駅舎には白鷹町観光協会が入居しており、ギャラリーが併設され、いつも様々な企画展示を行っている。入場無料で開放されているので、とりあえず終着駅まで来てみた旅人が、折り返し列車を待つ間に気軽に立ち寄れる。
駅舎に入居する観光協会は観光案内と物販・出札窓口を兼ねているが、普通乗車券は発売せず(車内精算)、企画券とグッズ類のみ取り扱っている。
なお、昔は山交バスを乗り継いで朝日町宮宿経由で左沢まで出られたが、だいぶ昔に廃止されている。引き継いだ白鷹町営バスも荒砥駅発は夕方のみ2便(逆は早朝のみ1便)まで減ってしまい、日中はデマンドタクシー(一般利用不可)になってしまった。よって朝日町へ行く場合は山形駅へ回る方が早い。荒砥駅前には大抵タクシーが待っているので、途中にある白鷹温泉や黒鴨温泉などへはタクシーで行けるが、帰りは呼び出しになる。レンタサイクルもあるが、片道5kmほどずっと登り坂になる。
置賜さくら回廊
肥沃な置賜盆地を走るフラワー長井線の沿線には田んぼが多いが、路線名に「フラワー」を付けるだけあり、沿線には南陽市の菊、川西町のダリア、長井のアヤメ、白鷹町のベニバナと花卉栽培も盛ん。
さらに、沿線には桜の見所も多く、駅の近くにも見所が多いので、春に訪ねたら歩いて花見を楽しむのも良い。
最上川沿いには「最上川フットパス」コースが設定されており、長井市や白鷹町が案内板等を整備しているので、積雪期を除いて春から秋まで散策を楽しめる。
キャラクター展開
うさぎ駅長「もっちぃ」
宮内駅では、白うさぎの「もっちぃ」が駅長を務める。人気があるようで、駅長に会いに立ち寄る客も少なくないようだ。グッズ展開も盛ん。
いつでも会えるわけではないので、もっちぃ駅長の勤務時間は公式twitterを参照。
鉄道むすめ「鮎貝りんご」
2015年夏に誕生した鉄道むすめ。もっちぃ駅長とともに人気があるようで、グッズも多く展開されている。 名前は駅名(鮎貝、梨郷)から。
2017年初頭には鉄道むすめラッピング車両も登場。好評のようで2019年夏時点でも継続運行中。
グッズ類は赤湯駅東口駅舎内の「駅の駅なんよう」と、今泉駅を除く各有人駅の出札窓口で取り扱い。
【窓口営業時間】(2019年春現在)
- 赤湯駅「駅の駅なんよう」 - 9:00 ~ 17:00
- 宮内駅 - 10:00 ~ 17:30
- 長井駅(旅行センター) - 10:00 ~ 17:30
- 荒砥駅 - 10:00 ~ 17:30
お得なきっぷ
- 土・休日フリーきっぷ - 土日祝のみ発売。フラワー長井線を1日乗り放題で、大人1,000円。大人1名につき小学生以下2名まで同伴利用可。各有人駅と車内で発売。
- もっちぃ親子・孫乗り放題きっぷ - 平日のみ発売。フラワー長井線を1日乗り放題で、1,000円。大人1名と小学生以下2名以下を同伴の場合のみ利用できる(大人だけでは利用できない)。土休日は通常のフリーきっぷを同様に利用可。
- 利用券 - 100円券11枚綴りで1,000円の特殊回数券。現金併用で普通運賃の支払いに利用できる。無期限。各有人駅で発売。
駅一覧(各駅へのリンク)
⚠ |
駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線・備考 | 出札 | 配線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|
赤湯駅 あかゆ |
- | 0.0 | JR奥羽本線・山形新幹線 南陽市内循環バス(平日のみ) レンタサイクル(南陽市観光協会、冬季休業) |
◎ | | | 山形県 南陽市 |
南陽市役所駅 なんようしやくしょ |
0.9 | 0.9 | | | |||
宮内駅 みやうち |
2.1 | 3.0 | 南陽市内循環バス 西部地区(平日のみ) | ○ | ◇ | |
おりはた駅 おりはた |
1.4 | 4.4 | | | |||
梨郷駅 りんごう |
2.4 | 6.8 | | | |||
西大塚駅 にしおおつか |
3.5 | 10.3 | | | 東置賜郡 川西町 | ||
今泉駅 いまいずみ |
1.9 | 12.2 | JR米坂線 長井市営バス(運行日注意) |
△ | ◇ | 長井市 |
時庭駅 ときにわ |
2.7 | 14.9 | 長井市営バス(運行日注意) | | | ||
南長井駅 みなみながい |
2.4 | 17.3 | | | |||
長井駅 ながい |
1.0 | 18.3 | 長井市営バス(運行日注意) 無料観光循環バス「まわるん」(土日祝のみ) レンタサイクル(山形鉄道本社、冬季休業) |
◎ | ◇ | |
あやめ公園駅 あやめこうえん |
0.8 | 19.1 | | | |||
羽前成田駅 うぜんなりた |
1.9 | 21.0 | 長井市営バス(運行日注意) | | | ||
白兎駅 しろうさぎ |
2.2 | 23.2 | 長井市営バス(運行日注意) | | | ||
蚕桑駅 こぐわ |
1.4 | 24.6 | | | 西置賜郡 白鷹町 | ||
鮎貝駅 あゆかい |
3.3 | 27.9 | | | |||
四季の郷駅 しきのさと |
0.7 | 28.6 | | | |||
荒砥駅 あらと |
1.9 | 30.5 | 車両基地併設 山交バス 山形駅経由山形市役所行、道の駅川のみなと長井行 白鷹町営バス(平日のみ・1-2便のみ) レンタサイクル(電話確認を推奨、冬季休業) |
○ | | |
【凡例】
- 出札:◎=一部時間帯に出札窓口・券売機あり(旅行センター併設、日曜日を除きJR券取扱)、○=一部時間帯に出札窓口あり(赤湯駅は西口に窓口、東口に券売機がある)、△=窓口ではJR券のみ取り扱い、無印=窓口・券売機なし
- 配線:|=棒線駅(交換不可)、◇=交換可能駅、∨∧=単線と複線以上の境界駅、‖=複線以上の駅