大井川鐵道
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📅 | 筆者の最終訪問時期:2016年1月 |
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大井川鐵道(おおいがわてつどう)大井川本線(おおいがわほんせん)は、金谷駅(静岡県島田市)から千頭駅(静岡県榛原郡川根本町)までを結ぶ鉄道路線。全線単線・電化。
大井川鐵道(おおいがわてつどう)井川線(いかわせん)は、千頭駅(静岡県榛原郡川根本町)から井川駅(静岡県静岡市葵区)までを結ぶ鉄道路線。全線単線・電化。南アルプスの山中を走り、一部区間で急傾斜のためアプト式が採用されており、日本で現存する唯一のラック式鉄道。愛称は「南アルプスあぷとライン」。
見どころ
大井川
全線にわたり、大井川に沿って走っており、車窓から大井川の流れを間近に望む。
沿線は有数の茶の産地で、山間部にまで茶畑が広がる。
他社譲渡車両
大井川本線では大手私鉄などからの譲渡車が走っており、塗装の変更も行われず、往時の姿で走っている。
普通列車では、主に元南海21000系と元東急7200系(十和田観光電鉄譲渡車)、近鉄16000系(特急車)が走っている。
また、蒸気機関車牽引のSL急行「かわね路」号が、新金谷~千頭間で、ほぼ毎日走っているほか、元・西武鉄道のE31形電気機関車も加わり、SL列車の補機として活躍している。大井川鉄道に貨物列車が走っていた頃からの生え抜き電気機関車E10形は70年近く活躍している。
アプト式
長島ダム建設による線路付け替えにより、急勾配区間(最急勾配90‰)となるアプトいちしろ(旧・川根市代駅)~長島ダム間ではラック式を採用。この区間では専用機関車を連結して走る。
また、この旧線区間の一部は遊歩道になっており、トンネル区間は照明が無いため「ミステリートンネル」と呼ばれている。 →井川線旧線のトンネル・ウォーキング。(鉄道ホビダス)
奥大井湖上駅
接岨湖(大井川を堰き止めた長島ダムによる人造湖)を渡る鉄橋の真ん中に奥大井湖上駅がある。
駅前にはログハウス風の休憩所「レイクコテージ奥大井」があるほかは何もない(登山道の入口はあるようだが)。線路の鉄橋脇の保線用通路が開放され、乗降客も通れるようになっており、橋上は大井川の谷を吹き抜ける強風と相まって観光客には良さそうだ。
鉄橋脇の通路を渡ると坑口の管理用急階段を登って陸に上がり、山道を歩いて行くとじきに駅を一望できる場所(右上写真)に出る。
また、この展望台から20分ほど歩くと接岨峡温泉に出るし、途中には対岸に渡る吊り橋もあり、接岨峡温泉会館までつながるハイキングコースもあるので、ほどよい散策ができる。
井川
井川湖は大井川を井川ダムにより堰き止めた人造湖で、その畔(と言っても南アルプスの山中なので崖のような急傾斜地だが)に井川線の終点・井川駅がある。
井川駅は井川本村から直線で2kmほど手前にあるが、井川線は元々この井川ダムの建設資材運搬を目的に敷設されたため、井川ダム最寄りの井川駅が終点になっている。(井川駅は旅客駅だが、資材運搬用には井川駅の少し先まで線路が延びており、堂平駅があった。)
井川駅から井川湖方面に少し歩くと船着き場「堰堤」があり、本村との間に渡船が運航している(ただし冬季など渇水期には運休)。
また、この貨物線の廃線跡(書類上はまだ廃止されていないようだが)を使って井川湖畔遊歩道が整備されており、ここを歩いて井川本村へ出ることもできる(約2時間)。
本来の井川本村はダム湖の下に沈んでしまい、現在バスが走る道路は補償の一環で整備されたもの(井川線の赤字補填も中部電力が行っている)。1950年頃までの話だが、静鉄バスで口坂本まで行ってから3時間ほど歩くのが井川村への最短経路だったようだ。かつて村人が歩いていた道が「大日古道」と呼ばれる。道すがら観音様が安置されていたようで、地元のNPOによる調査・再整備の計画もあるようだ。
富士見峠付近は現在は廃道状態のようだが、口坂本温泉経由の経路は歩けるようだ。口坂本温泉までは静岡駅前から静鉄ジャストライン 118系統 上落合行(1日4本、約80分)で「上落合」下車、徒歩40分。[1][2]
井川本村へはかつて静岡鉄道バスの路線が来ていたが、このバス路線は途中の横沢止まりに短縮されてしまい、廃止代替として井川地区自主運行バスが横沢まで連絡している。しかし定員9名・予約不可・地元住民優先のため、登山客の多い時期の利用は注意したい。横沢からは静鉄ジャストライン 119系統(平日2本、土休日4本、約75分)で静岡駅まで出られる。
温泉
- ★川根温泉 - 川根温泉笹間渡駅 徒歩5分。毎月第1火曜日定休。#お得なきっぷあり。
- ★接岨峡温泉(炭酸冷鉱泉) - 接岨峡温泉駅 徒歩10分。ホームページには「徒歩5分」とあり、駅からの直線距離は近いが、途中急坂を蛇行して下ってまた少し登る道なので、10分ほど見ておくと良い。木曜日定休。温泉会館のほかに民宿も数軒あり。
- 赤石温泉 - 井川駅より井川地区自主運行バス 白樺荘行で終点下車。バスは定員9名で地元住民優先・予約不可のため、乗れないことがあるので注意。
★=駅近温泉場
お得なきっぷ
大井川鐵道
- 大井川周遊きっぷ - 通年利用可。大井川本線と井川線全線、および寸又峡線バスと閑蔵線バスに乗り放題。2日間有効券は大人 4,400円、小人 2,200円。SL列車等の急行券は別途。金谷駅、新金谷駅、プラザロコ内SLセンター、千頭駅、奥泉駅、井川駅で発売。
- 大井川本線フリーきっぷ - 通年利用可。大井川本線(金谷~千頭間)が2日間乗り放題で、大人 3,440円、小人 1,720円。SL列車等の急行券は別途。大井川本線のSL等への乗車が目的のときは、こちらが便利。
- 川根温泉ふれあいの泉クーポン - 発駅から川根温泉笹間渡駅までの往復と、川根温泉ふれあいの泉 入浴料金のセット券。金谷発の場合、大人 1,820円、小人 920円。1日有効。
- 井川線周遊きっぷ - 通年利用可。井川線(千頭~井川間)とバス(寸又峡線・閑蔵線)が2日間乗り放題で、大人 1,800円、小人 900円。井川までバスで行く時には良いかも。
JR東海(金谷駅まで)
- 静岡地区休日乗り放題きっぷ - 東海道本線の熱海~豊橋間、御殿場線と身延線の全線が1日乗り放題で、大人 2,670円、小児 1,330円。土休日と年末年始(12月30日~1月3日)のみ利用可。大井川鐵道へ日帰りで出掛けるときは、金谷駅までの往復に便利(大井川鐵道の運賃は別途)。フリー区間内の駅の出札窓口で購入できるが、国府津駅と甲府駅では発売していないので、下曽我駅や南甲府駅など近くの窓口営業駅まで行って購入する必要がある。熱海駅では新幹線乗換口の出札窓口でのみ取扱。
- 青春18きっぷ - お馴染みJR全線の普通列車が乗り放題になる企画券。指定期間中に5回(5日または5人)利用可で 11,850円。大井川鐵道の運賃は別途。
- ぷらっとこだま - 東京・品川・新横浜から、または新大阪・京都・名古屋から、静岡駅まで東海道新幹線「こだま」号を割安に利用できる。旅行商品扱いのため、発売窓口限定、事前購入必須、変更不可(変更する場合は一旦払い戻し)等の利用条件がある。静岡~金谷間の運賃は別途。
- EX早特 - 早期予約により、東海道新幹線「こだま」号のグリーン車利用がお得。スマートフォン限定のスマートEXならば会費無料で利用可。静岡~金谷間の運賃は別途。
(番外)宿泊補助
川根本町がオフシーズンの冬季に町内宿泊補助を出しており、これを使った大井川鐵道と宿泊のセットプランを大鉄観光サービスが販売している。詳しくは川根本町冬の宿泊キャンペーンを参照。
沿線の風景
駅一覧(各駅へのリンク)
⚠ |
大井川本線
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線・備考 | 出札 | 配線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|
金谷駅 かなや |
- | 0.0 | JR東海道本線 島田市コミュニティバス |
○ | | | 静岡県 島田市 |
新金谷駅 しんかなや |
2.3 | 2.3 | 島田市コミュニティバス 金谷循環線 | ○ | ◇ | |
代官町駅 だいかんちょう |
1.5 | 3.8 | | | |||
日切駅 ひぎり |
0.5 | 4.3 | | | |||
五和駅 ごか |
0.7 | 5.0 | ◇ | |||
神尾駅 かみお |
4.8 | 9.8 | ◇ | |||
福用駅 ふくよう |
2.5 | 12.3 | 簡易郵便局で乗車券の販売あり | △ | ◇ | |
大和田駅 おわだ |
2.5 | 14.8 | | | |||
家山駅 いえやま |
2.3 | 17.1 | 島田市コミュニティバス 川根温泉線、笹間渡笹間線(川根温泉方面) | ○ | ◇ | |
抜里駅 ぬくり |
1.7 | 18.8 | | | |||
川根温泉笹間渡駅 かわねおんせんささまど |
1.2 | 20.0 | △ | | | ||
地名駅 じな |
2.9 | 22.9 | △ | ◇ | 静岡県 榛原郡 川根本町 | |
塩郷駅 しおごう |
1.4 | 24.3 | | | |||
下泉駅 しもいずみ |
3.1 | 27.4 | 川根本町町営バス | ◇ | ||
田野口駅 たのくち |
3.6 | 31.0 | 川根本町町営バス | | | ||
駿河徳山駅 するがとくやま |
3.1 | 34.1 | 川根本町町営バス | ○ | ◇ | |
青部駅 あおべ |
2.0 | 36.1 | | | |||
崎平駅 さきだいら |
1.1 | 37.2 | | | |||
千頭駅 せんず |
2.3 | 39.5 | 大井川鐵道井川線 大井川鐵道バス 寸又峡線 寸又峡温泉行、閑蔵線 接岨峡温泉経由 閑蔵駅前行 川根本町町営バス |
○ | ◇ |
【凡例】
- 出札:○=出札窓口あり(一部時間帯を除く)、△=乗車券の委託販売あり
- 配線:|=棒線駅(交換不可)、◇=交換可能駅、∨∧=単線と複線以上の境界駅、‖=複線以上の駅
井川線
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 標高 (m) |
平均勾配 (‰) |
接続路線・備考 | 出札 | 配線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千頭駅 せんず |
- | 0.0 | 298 | - | 大井川鐵道大井川本線 大井川鐵道バス 寸又峡線 寸又峡温泉行、閑蔵線 接岨峡温泉経由 閑蔵駅前行 川根本町町営バス |
○ | ◇ | 静岡県 榛原郡 川根本町 |
川根両国駅 かわねりょうごく |
1.1 | 1.1 | 298 | 0.0 | ◇ | |||
沢間駅 さわま |
1.3 | 2.4 | 323 | 19.2 | | | |||
土本駅 どもと |
1.5 | 3.9 | 325 | 1.3 | | | |||
川根小山駅 かわねこやま |
1.9 | 5.8 | 354 | 15.2 | ◇ | |||
奥泉駅 おくいずみ |
1.7 | 7.5 | 369 | 8.8 | 大井川鐵道バス 寸又峡線 寸又峡温泉行、閑蔵線 接岨峡温泉経由 閑蔵駅前行 | ○ | ◇ | |
アプトいちしろ駅 あぷといちしろ |
2.4 | 9.9 | 396 | 11.3 | | | |||
長島ダム駅 ながしまだむ |
1.5 | 11.4 | 485 | 59.3 | ◇ | |||
ひらんだ駅 ひらんだ |
1.2 | 12.6 | 485 | 0.0 | | | |||
奥大井湖上駅 おくおおいこじょう |
1.3 | 13.9 | 490 | 3.8 | | | |||
接岨峡温泉駅 せっそきょうおんせん |
1.6 | 15.5 | 496 | 3.8 | 大井川鐵道バス 閑蔵線 | ○ | ◇ | |
尾盛駅 おもり |
2.3 | 17.8 | 526 | 13.0 | | | |||
閑蔵駅 かんぞう |
2.7 | 20.5 | 557 | 11.5 | 大井川鐵道バス 閑蔵線 | ◇ | 静岡県 静岡市 葵区 | |
井川駅 いかわ |
5.0 | 25.5 | 686 | 25.8 | 井川湖渡船「堰堤」(荒天・渇水期・冬季運休) 井川地区自主運行バス 横沢行、井川本村経由白樺荘行 井川湖畔遊歩道(廃線跡)経由で井川本村まで徒歩2時間弱 |
○ | ◇ |
- 最急勾配は90‰
- 閑蔵~井川間は土砂崩れにより2018年5月8日より不通になっていたが、2019年3月9日より再開した。