会津西方駅

提供:ゆずの鉄旅のーと Yuznote
名入ざる菊園から転送)
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只見線
会津西方
あいづにしかた Aizu-Nishikata
福島県大沼郡三島町
会津桧原 (2.2km) (1.7km) 会津宮下

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管轄 JR東日本 仙台支社
配線 1面1線
有人駅 × 無人駅
出札窓口・券売機 × 整理券を取って乗車、降車時現金精算
待合室
路線バス 三島町営バス 大石田・西方線「名入(西方駅前)」(標柱は無いが駅前で乗降可、日中は要予約)
タクシー 会津柳津駅付近から呼出(柳津観光タクシー 0241-42-2101
シェアサイクル・レンタサイクル × 会津宮下駅前の「からんころん」で借りて自走してくると良い(三島大橋経由で15分くらい)
トイレ × 駅前の名入集会所に設置されたものの、施錠されている
飲料自動販売機 ×
売店 × 駅付近に「家登屋商店」があるが、営業しているのかどうか…
携帯電話圏内 ドコモ au SB(2022年 7月)
会津西方駅 どこトレ


会津西方駅(あいづにしかたえき)は、福島県大沼郡三島町にある、JR只見線

かつては交換設備があったのか、または貨物ホームだったのか、現在のホームの反対側にもホームの跡があるが、設備は現存しない。近所の人が手入れしているのだろう、旧ホーム跡には花壇が作られ、秋には ざる菊が彩りを添える。

また、かつては廃止されたホーム側に駅舎があったようだが、だいぶ前に取り壊されており、今はホーム直結の小さな待合室が設置されている。

駅ノートは設置されていない。

かつての駅舎跡はすでに更地になっており、すぐそばに名入集会所が建っている。この集会所は2017年に改築(新築)され、屋外からも利用できる形でトイレが設置されたが、普段は施錠されていて利用できない(旅人が利用できるトイレは急坂を登った先にある三島町交流センター「山びこ」か、会津宮下駅または道の駅みしま宿まで行かないと無い)。

#只見線・第一只見川橋梁ビューポイントの最寄駅。直線距離は近いが道なりには40分~1時間ほど(積雪期は1時間強)かかるので、道なりの距離は会津宮下駅から歩くのと大差ないが、当駅から歩く方が四季折々の景色を楽しめる。

一面雪景色の名入集落 手前の溝は線路
木々に囲まれた名入集落を走る列車(後述のビューポイントから撮影)

駅周辺

廃止されたホーム跡が残る
秋には ざる菊が彩りを添える
駅付近の名入集落(夏)

春夏秋冬、いつ訪ねても風光明媚な景色が広がっているが、旅人が利用できるような施設類は駅付近には皆無。 駅の入口に「家登屋かどや商店」があるが、営業しているのかどうか判らない店舗前の郵便ポストは利用できそうだが。

駅付近は「名入ないり」という集落で、駅名の「西方にしかた」集落は道なりに2kmほど北に離れた所にあるが、ここ名入を含めて駅開業当時は「西方村」だった(1955年に旧宮下村と合併して三島町になった)ので、西方村の駅ということで名付けられたのだろう。

駅間距離

隣の会津宮下駅と距離が近く(1.7km)、只見線では会津若松七日町間に次いで駅間が短い。宮下とは只見川で隔てられているが、三島大橋が架かっているから道なりにも近く、歩いても30分ほど。

もう一方の会津桧原駅との間は、線路は2.2kmだが、只見川を越えてまっすぐ歩いて行けないので(会津桧原駅#駒啼瀬峠と川井新道を参照)、道なりにはかなり距離がある。

只見川と渡し船

今は三島町域にも只見川を渡る多くの橋が架かっているが、昭和に入るまでは橋が全くなく、方々で渡し船が活躍していたそうだ。

1941年に只見線が開通すると、只見川を渡る2本の鉄橋が架かったので、しばらくは村民も鉄橋の脇の保線用通路を歩いて渡っていたとか(今は不可)。

会津宮下駅からレンタサイクルで走ってゆくと、農地を抜けて第二只見川橋梁のすぐ近くまで草生した小道が続いているので、昔はここを歩いていたのだろう。

今は三島大橋や歳時記橋などが架かっているので、列車で訪れて歩いての観光もしやすくなっている。

西方集落へ行くなら、当駅から歩いて行っても30分ほど(2km前後、途中急坂あり)だが、当駅または隣の会津宮下駅から町営バス・デマンドバスを利用するか、同駅前の観光交流館「からんころん」でレンタサイクル(電動アシスト付き自転車、冬季休止)を借りて行くと回遊しやすい。

名入

駅付近の名入集落(秋)
駅付近の名入集落(冬)
諏訪神社
生活工芸館
「会津桐タンス」の工場
名入ざる菊園
三島町交流センター「山びこ」(からんころんのレンタサイクルで訪問)

駅の南側に集落があり、駅を中心にして1本の通りに沿って民家が建ち並んでいる。

駅のすぐ近くにある「龍昌寺」というお寺には、飯豊山喜多方市)、湯殿山山形県鶴岡市)、古峯神社栃木県鹿沼市)の石碑が並び、今でも講が引き継がれているのだろう、古峯神社の御札は新しい物が安置されている。これらの石碑は方々で見られ、この地が古くから会津越後街道および下野街道と交流があったことをうかがわせる。

さらに、この駅南側の集落の東西にある踏切には「野沢街道踏切」という名前が付いている。この駅前の通りが、新潟と奥会津を結び生活を支えた旧野沢街道の一部であったことを、この踏切だけが今にひっそりと伝えている。

駅東側の集落の東の外れ、鬱蒼とした杉林の中に諏訪神社が祀られている。その木々に囲まれた境内においても一際存在感を放つ「雪見のイチョウ」は、樹齢400年だとか。

駅の北東にも立派なイチョウの木があり、秋には黄色の絨毯になる。その先の曲がりくねった急坂を登ると、名入集落の「諏訪ノ上」という地区に入る。まさに諏訪社の上にあるからだろうが、神社は高台に設けることが多いので、珍しいなと思いつつ、駅西の集落には蔵持ちの家が多いし、有力者が住んでいたりしたのだろうか?などと想像を巡らせながら歩けるくらいには多彩な顔がある。

諏訪ノ上地区には生活工芸館交流センター「山びこ」、会津桐タンス工場などの施設や事業所が立地しており、東の外れにある畑の一角では毎年秋になると「名入ざる菊園」が開園する(鑑賞無料)。

名入集落は駅から近く、駅南側と東側の集落は歩いてすぐ。 諏訪ノ上地区へも歩いて15分~20分ほどだが、回遊するなら会津宮下駅前の「からんころん」でレンタサイクル(全車電動アシスト付き)を借りて行くと便利だ。自転車なら当駅まで15分ほどで着く。後述の西方地区へ足を伸ばすにも良いだろう。

西方

西方集落
西方郵便局の風景印

只見川沿いには江戸時代より「伊北街道」(現在の沼田街道・尾瀬街道)が通っており、人や物が行き交っていたという(会津桧原駅#駒啼瀬峠と川井新道を参照)。

もうひとつ、川井より伊北街道から分岐する形で、越後へ抜ける野沢街道が通っており、西方集落はその宿場町として栄えたそうだ。

実際に訪ねてみると、建物が通りに沿って整然と並ぶなど、農村というよりも宿場の雰囲気に近いことがわかる。

西隆寺

西隆寺

西隆寺の乙女三十三観音

この西方集落の西の高台、岩倉山の麓にあるのが西隆寺。境内には乙女三十三観音が祀られている。

また、西隆寺には木造の聖徳太子像が祀られているという。平安時代・811年作の刻印があるのだとか。

この木造聖徳太子立像は、西隆寺を出て正面の旧街道沿いにある西方郵便局風景印の意匠にも採用されている。

神社は集落の南端に合祀されており、ここでは武士の信仰を集めた伊夜彦神社弥彦神社)を祀っている。977年建立だそうで、やはり集落の歴史を感じられる。

大林ふるさとの山

西方集落の南側から美坂高原へ向かう登り坂をしばらく登ると、山腹に「大林ふるさとの山」がある。この一角にはオオヤマザクラが植えられており、その根元では雪解けとともに一面カタクリの花が咲く。

例年、花が咲く頃を見計らって「カタクリさくらまつり」が開催され、地元の人たちによる露店が建ち並び、只見線列車に接続するシャトルバスも運行される(2020年は中止)。

只見線・第一只見川橋梁ビューポイント

秋の第一只見川橋梁 (C)
冬の第一只見川橋梁 (D)
夏の第一只見川橋梁 (D)
冬はビューポイントへの階段も積雪しているので(除雪されてはいるが追いつかない)、長靴で行く方が歩きやすい

写真を見せれば説明は要らないくらい有名になった、今や奥会津を代表する観光名所。火付け役はこの人だが、台湾での人気がすごいらしく(ここに限らず雪景色を見に来る観光が盛んだものねー)、新型ウィルスが押し寄せるまでは、台湾からツアーを組んで観光客が押し寄せていた。

2019年までのビューポイントは狭い所に人がひしめいて危険を感じる状況もあったが、2020年はこの状況なので、今はきっと空いているのだろうな…行きたいな…

第一只見川橋梁ビューポイントの案内図

もっとも、奥会津へ訪れていたインバウンド観光客は台湾からが多く、台湾は新型コロナウィルスの封じ込めに成功している[1][2]ので、日本がしっかりすれば、また観光客が増えるだろうか? (すっかり手狭になったビューポイントを、安全に&密にならないように、今のうちに再整備しておいてくれると良いのだけれど。)

現在のビューポイントはB・C・Dの3ヶ所あり、それぞれ見られる景色が異なるが、いちばん高所で見晴らしの良いDに多くの人が集まるので、Dからの景色を見たいときは早めに行くと良い。

デマンドバスで行けば楽々

会津宮下駅行きデマンドバスを利用できる(要予約)

最初は会津宮下駅から町営デマンドバス日祝は運休、前日までに要予約、帰りの便は当日朝一番の予約でも間に合う)に乗って行くと良い。

町外で泊まる場合は、会津宮下駅に朝7時半頃に着く列車があるので、それに乗って行けばOK。 若松で泊まる場合は、会津若松駅6:03発の朝一番列車に乗れば間に合う。

もちろん宮下温泉などに泊まるのがいちばん楽だが、早戸温泉に泊まっても、早戸駅を朝7:26に発車する列車に乗れば間に合う。早戸でも初夏には川霧を、秋は紅葉を楽しめるから、それも良いだろう。

宿の朝食には間に合わないと思うが、朝7時に開いている店は無いので、前の日にパンなどを買っておくと良い。ビューポイントの麓にある「道の駅尾瀬街道みしま宿」は朝8時開店で、おにぎり等の販売があり、10時には食堂も開く。

帰りの町営デマンドバス(要予約、日祝運休)が朝10:20発なので、これに乗って宮下駅まで行ってから町中で早めの昼食でも良いだろう。昼食がてら町内散策するも良し、駅前の「からんころん」で一休みするも良し。若松方面の次の列車は13:00発なので、2時間ほど、のんびり過ごせる。または宮下駅でデマンドバスを乗り継いで早戸温泉へ行くこともできる。

歩いて行けば道中も楽しめる

只見線・第二只見川橋梁

もし次また訪ねたいと思ったら、次はぜひ当駅から歩いて行ってみてほしい。この歩いて30分ほどの間に、道中に奥会津の魅力が凝集されているから。

歩いて行く場合は、もちろん当駅まで朝一番の列車に乗ってきても良いが、「ふるさと荘」に泊まって歩いて行くのも良い。朝7時頃には宿を出る必要があり(チェックインの際に伝えておけば対応してもらえる)、歩く距離は延びるが、途中で第二只見川橋梁を渡る列車も見ることができる。

途中の歳時記橋からの眺め

当駅からは、駅東側の集落内をまっすぐ歩いて行き、諏訪神社の鳥居を左手に見てさらに直進。地図に載っていない道があるので、まっすぐ道なりに歩き、突き当たりを右折するとすぐ歳時記橋に着く。

歳時記橋の真上(崖の上)に「道の駅尾瀬街道みしま宿」が見えるが、階段等は無くて登れないので、西へ少し迂回し、地図にある道なりに歩いて行く。湧水があって喉を潤すこともできる。途中急坂あり。

途中にある川井集落

その道中にある川井集落には第二只見川橋梁を上から見渡す「駒啼瀬公園展望台」がある(あった?)らしいのだが、あいにく筆者が川井集落に立ち寄った際には見つけられなかった(それっぽい場所へ行ってみたら墓地だった)。

冬季もほぼ除雪されていて通行可だが、歳時記橋と道の駅みしま宿の間の最短経路にある急坂が除雪されず通行不可になる(下図参照)ことと、途中に圧雪状態で凍結した坂道もあるので、当駅から1時間ほど見ると良い。

冬の景色はひときわ魅力的ではあるが、足元が悪いので、無理のないようにしたい。もし歩くなら時間に余裕をもって、長靴で行くようにしよう(郷に入れば郷に従え)。あと転倒注意(筆者は何度も行っているけれど、それでも毎回転倒するかな^^;)。

ちなみに名入(西方駅前)7:46発の町営バス(予約不要、日祝運休、運賃500円)に乗って川井集会所前(7:55頃着)まで行くと、歩く距離が半分以下になる。雪道歩きが苦手ならば検討しても良いだろう。

当駅から第一只見川橋梁ビューポイントまでの道程(積雪期)

筆者が訪ねた三島町

会津・三島町 Aizu Mishima town

参考リンク