野岩鉄道会津鬼怒川線
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📅 | 筆者の最終訪問時期:2020年秋 |
本稿は、2020年秋、またはそれ以前の情報です。 野岩鉄道へ訪問の際は、予め公式ホームページなどで最新の情報を確認してください。 |
野岩鉄道会津鬼怒川線(やがんてつどうあいづきぬがわせん)は、新藤原駅(栃木県日光市)から会津高原尾瀬口駅(福島県南会津町)までを結ぶ鉄道路線。全線単線・電化。愛称は「ほっとスパ・ライン」。
多くの列車が東武鬼怒川線(下今市方面)や会津鉄道会津線(会津田島方面)に乗り入れている。また、浅草から東武特急リバティ会津が直通運転している。
見どころ
沿線では四季折々の景色を楽しめるが、トンネル続きのため車内からはあまり見られない。沿線の景色を楽しむなら途中下車がおすすめ。
龍王峡
龍王峡駅で降りてすぐ龍王峡に入れ、新緑から紅葉まで楽しめる。花は3月下旬から4月上旬頃にミズバショウやヤマザクラが、5月連休頃には栃木県の花・ヤシオツツジが見られる。
鬼怒川沿いに川治湯元駅まで散策路が続いており、駅近で並行路線バスもあるので、お手軽1時間コースから、2-3時間かけて散策を楽しむコース、3-4時間かけて温泉に立ち寄るコースと、取れる時間に応じていろんな楽しみ方ができるのも魅力。→龍王峡ハイキングマップ、東武鉄道沿線 自然ハイキング
1時間コースは、龍王峡駅で降りて駅前の階段・急坂を降りてすぐに「虹見橋」。歩く距離は短いが、橋の上から渓谷を見られ、滝などもあって、次の電車までの1時間弱でも気軽に楽しめる。駅前には茶店もあるので、食事等もできる。
2時間コースは、龍王峡駅で降りて、「虹見橋」と「むささび橋」を渡って一周。電車を1本見送れば、散策と景色を一緒に楽しめる。
3時間コースは、鬼怒川温泉駅から日光交通バス湯西川温泉行で「白岩」下車、バスを降りると真ん前が散策路の入口で、龍王峡駅まで約2km。 ひとつ先の「逆セ川」から歩くと白岩半島周回の散策路も楽しめ、約3km、歩いて2-3時間。 道中ずっと渓谷の景色を楽しめるので、のんびり歩いて途中の茶店で休憩するのも良い。
龍王峡駅から川治温泉「薬師の湯」まで歩くと約5km、3時間あまり。「薬師の湯」から川治湯元駅まで徒歩10分ほど。
五十里湖
湯西川温泉駅は出るとすぐに五十里湖(いかりこ)で、新緑・紅葉や雪景色を楽しめる。
上三依水生植物園
上三依塩原温泉口駅から徒歩5分で気軽に花々を楽しめる。例年4月中旬から11月末頃までの開園(冬季休園)。
秘境
男鹿高原駅は人がほとんど住まない県境地域にある駅。散策路あり(積雪期は通行不可)。散策の際は熊避け鈴を用意しよう。
湯めぐり号
会津鉄道が保有する「お座トロ展望列車」(キハ40改造車)を借りて野岩鉄道が運行している臨時列車。
朝一番の特急「リバティ会津」から連絡するダイヤで運行され、会津鉄道内では途中の会津下郷駅に停車して名物「ますバーガー」の車内販売が行われるなど、基本的に会津鉄道内単独運行(会津田島→会津若松)の列車と同様のダイヤになっている。
運行日はホームページやJTB時刻表で確認できる。運行区間は鬼怒川温泉→会津若松の片方向。乗車には乗車券のほかに整理券(大人320円)が必要。整理券は鬼怒川温泉駅ツーリストセンターと、野岩鉄道・会津鉄道各停車駅の窓口営業時間に購入できる(空いていれば車内でも購入可)。
1両目が展望席とお座敷席、2両目がトロッコ席で、普段は1両目のみ発売しており、展望席かお座敷席かを選んで購入するが、席の指定ではないので、席の移動自由。空いていればお座敷・展望席を移動できるし、前面展望席とトロッコ席は通常発券されないので、空いていれば任意に利用できる。
尾瀬夜行2355
会津高原尾瀬口駅より会津バスに乗り換えて2時間ほどで尾瀬沼山峠に到着。沼山峠からは尾瀬沼へほぼ下り坂の最短経路で到達できるお手軽コース。
金曜日の深夜発(到着は土曜日の早朝)を中心に、浅草・北千住からの夜行列車「尾瀬夜行23:55」が走っており、朝6時過ぎ頃には沼山峠に到着できるので、貴重な昼間の時間を有効活用でき、コースによっては日帰りもできる。
「尾瀬夜行23:55」は団体専用臨時列車扱いのため、駅では切符を購入できず、予め東武トップツアーズが販売する旅行商品の購入が必要。近くに窓口が無い場合は通販でも購入できる(通販では1週間ほど前までに購入が必要だが、クレジットカードがあれば送料・手数料不要で、宅配便で船車券が届くのでお手軽)。または東武トップツアーズ窓口へ出掛ければ、空きがあれば間際でも購入できる。座席は全席指定だが購入時に指定不可、ただし窓側希望などの希望を伝えれば極力対応してもらえるようだ。
列車は2018年から500形「リバティ」になったので、全席に電源完備。小型のACアダプタを持って行けば移動中に充電もできるので、仕事帰りに出掛けても安心。
浅草からの運賃・特急料金と会津バス運賃を含めて、沼山峠まで片道6,100円。尾瀬沼を通り抜けて大清水または鳩待峠からの関越交通の高速バス(新宿行)も同時に購入でき、その場合は往復で10,100円(個別に手配するより若干割安になる)。(価格は2020年)
また、別途手配すると尾瀬・魚沼ルートも利用できる(魚沼市観光協会での予約が必要)。
他に希望があれば山小屋泊などのオプションも付けられる。登山届の提出もしてもらえる。
サイクルトレイン
2020年7月より、自転車を畳まずに車内に持ち込める「サイクルトレイン」を利用できるようになった。ただし一部の列車に限定され、前日(土休日の場合はその前の平日)までに予約が必要。
利用できるのは、新藤原、川治湯元・湯西川温泉・上三依塩原温泉口および会津高原尾瀬口~会津田島間の各駅に限られている。 (野岩鉄道内では、エレベータやスロープが設けられていない駅は利用できない。)
また、会津高原尾瀬口~会津田島間は会津鉄道だが、この区間を走る電車は野岩鉄道の運転士・車掌が担当しているためか、野岩鉄道で予約を受け付けている。
東武側は利用できないので、自転車をそのまま乗せたい場合は当駅まで自走してくる必要があるが、トンネルの多い区間は電車に乗って、川治湯元・湯西川温泉・上三依塩原温泉口や会津高原尾瀬口で降りて峠越えするも良し、そのまま会津田島まで乗って行くも良し。
ちなみに会津田島~西若松間は以前より列車への自転車乗り込みに対応していたので、新藤原から西若松まで(またはその逆)行くことができる。
なお、畳んで輪行袋に収納すれば予約不要で乗車でき、東武方面も乗車できる。
温泉
「ほっとスパ・ライン」の愛称通り、沿線には温泉地が多い。
- ★川治温泉 - 川治湯元駅 徒歩10分(川治温泉駅は温泉場から離れているので注意)
- 上栗山温泉 - 川治温泉駅(または鬼怒川温泉~川治湯元間の各駅)より日光市営バス女夫渕行に乗り換えて「上栗山」下車。
- 川俣温泉 - 川治温泉駅(または鬼怒川温泉~川治湯元間の各駅)より日光市営バス女夫渕行に乗り換え
- 奥鬼怒温泉郷 - 川治温泉駅(または鬼怒川温泉~川治湯元間の各駅)より日光市営バス女夫渕行に乗り換えて終点下車、徒歩1~2時間。
- ★湯西川温泉 - 温泉場までは湯西川温泉駅より日光交通バスで25分。ただし駅まで引き湯しており、駅に日帰り温泉施設が併設されている。
- ★中三依温泉(冬季休業) - 中三依温泉駅 徒歩3分
- 塩原温泉 - 上三依塩原温泉口駅から「ゆーバス」で20分。または那須塩原駅よりJRバス関東で約1時間。
- ★滝ノ原温泉 - 会津高原尾瀬口駅 徒歩5分。ちどり荘や夢の湯などの温泉旅館が日帰り入浴にも対応している。
★=駅近温泉場
キャラクター展開
やがぴぃ
以前より鳥のキャラクターが使われていたが、新たに緑色の鳥のキャラクターが2012年に誕生し、公募により命名された。 以降、ホームページやチラシなどに登場する。着ぐるみもあって沿線のイベントに登場する。グッズも少しだけあるようだ。
鉄道むすめ「八汐みより」
両端で直通運転している会津鉄道と東武鬼怒川線の鉄道むすめが人気を博す一方、野岩鉄道には長らく不在だったが、2019年4月下旬に「八汐みより」が誕生。「八汐」は栃木県の花で龍王峡などに自生するヤシオツツジより、「みより」は地名(三依)より。グッズ展開も始まっている。
利便性
概ね毎時1本
- 東京・北千住から東武特急「リバティ会津」で直通・2時間あまりで行ける秘境。特急「リバティ会津」は毎日4往復運行。
- 日光と会津の間にあり、通り抜け寄り道観光にも好適。
- 沿線に観光関連以外の住民がほとんどいない人口希薄地域を走る割りに、電車は概ね毎時1本あり、概ねどの電車も接続が良く、さらに東京(浅草)方面への直通特急列車まであって、秘境感を楽しめる路線にしては利便性が高い。
- 男鹿高原駅のみ通過列車が設定されているので、当駅利用時は注意しよう。
帰りは座って
- ハイシーズン(大型連休などの東武特急が増便される時期)以外は、帰り(東京方面へ)の東武電車はあまり混まないので、乗り換えの手間はかかるが、特急に乗らなくても北千住・浅草や地下鉄半蔵門線・東急田園都市線直通電車まで大抵座って帰れるし、北千住乗り換え日比谷線(もし混んでいても1本見送れば始発電車)・千代田線(小田急直通を含む)も大抵座れる。
- 京急沿線へは、浅草(特急利用の場合)または押上(特急に乗らない場合)乗換で都営浅草線経由が便利。エアポート快特は混んでいることが多いが、青砥始発電車(京急線内は快特または特急になる)を待てば大抵座れる。
有料列車
- 東武特急リバティ会津 - 北千住・浅草まで直通、全車指定席で電源もあり。下今市~会津田島間のみを乗車する場合は特急券不要の乗り得列車(この場合は座席指定は受けられないが、空いている区間なので繁忙期以外はあまり問題ない)
- 東武特急スペーシア - 本線内には乗り入れないが、鬼怒川温泉駅または下今市駅で乗り継ぐことができる。車両は古いものの高級感があり、こちらは特急料金に「夜割」の設定があるので、帰りが遅い人はお得かも。
- JR・東武直通特急 - 新宿、池袋、浦和、大宮に停車。同じく鬼怒川温泉駅または下今市駅で乗り換えとなる。前述の地下鉄直通では不便な人にはこちらが良いかも。
- 湯めぐり号 - 会津鉄道所有の「お座トロ展望列車」を使った臨時列車。自由席だが整理券(310円)が必要なので、乗車前に整理券を買った人は全員座れるはず。大きな側面窓と前面展望で沿線の景色を楽しめる。
お得なきっぷ
詳しくは 野岩鉄道 お得なきっぷ (PDF) を参照
PASMO・Suicaは使えず、面倒な現金精算になり、運賃も高めなので、お得なきっぷを買って行くのがおすすめ。
- まるごと鬼怒川 東武フリーパス - 通年利用可、東武の特急列車は特急券別途。湯西川温泉までは、北千住から往復 4,570円(冬季は4,190円)で、温泉街への日光交通バスにも乗れる。
- ゆったり会津 東武フリーパス 会津田島 - 全線乗るならこちら。北千住から往復 5,620円。通年利用可。こちらはバスには乗れない。
- 野岩鉄道会津鬼怒川線フリーきっぷ - 大人 2,100円、小児 1,060円。新藤原~会津高原尾瀬口間が1日乗り降り自由になる。野岩鉄道各駅と、野岩鉄道の車掌から購入できるが、AIZUマウントエクスプレスなどの気動車で運行される列車では購入できないので注意(駅の改札窓口営業中ならば降車時に購入できるかもしれないが現場判断になる)。東武駅や旅行会社等での前売りは無い。
- 野岩・会津全線フリーきっぷ - 大人 4,820円、小児 2,420円。新藤原~西若松間が1日乗り降り自由になる。野岩鉄道各駅(窓口営業時間のみ)、会津鉄道各駅(同)のほか、東武トップツアーズ(旅行会社)窓口でも購入できるが、東武線内から会津若松まで行くなら「ゆったり会津 東武フリーパス 喜多方」(北千住から往復 7,110円)の方がお得。
他に、単純に往復するだけならば、金券ショップなどで売られている東武鉄道の株主優待乗車証を利用する方法もあるが、湯西川温泉行きバスに乗ったり、途中下車するような場合は、上記お得なきっぷを使う方が良い。
沿線の風景
東武鬼怒川線の区間を含んでいます
駅一覧(各駅へのリンク)
⚠ |
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 標高 (m) | 平均勾配 (‰) | 接続路線・備考 | 出札 | 配線 | 所在地 |
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東武鬼怒川線へ直通運転 | ||||||||
新藤原駅 しんふじわら |
- | 0.0 | 415.4 | - | 東武鬼怒川線 日光交通湯西川線「藤原」 日光市営バス女夫渕行「新藤原駅前」 |
◎ | ◇ | 栃木県 日光市 |
龍王峡駅 りゅうおうきょう |
1.7 | 1.7 | 445.0 | 17.4 | 日光交通湯西川線「龍王峡入口」 日光市営バス女夫渕行「龍王峡入口」 |
○ | | | |
川治温泉駅 かわじおんせん |
3.1 | 4.8 | 499.9 | 17.7 | 日光交通湯西川線「川治温泉駅」 日光市営バス女夫渕行「川治温泉駅」 |
◇ | ||
川治湯元駅 かわじゆもと |
1.2 | 6.0 | 517.8 | 14.9 | 共同浴場 徒歩10分 日光交通湯西川線「川治湯元駅入口」 日光市営バス女夫渕行「川治湯元駅入口」 |
○ | | | |
湯西川温泉駅 ゆにしがわおんせん |
4.3 | 10.3 | 597.5 | 18.5 | 日帰り温泉施設直結 日光交通湯西川温泉行 |
○ | | | |
中三依温泉駅 なかみよりおんせん |
6.5 | 16.8 | 648.3 | 7.8 | 日帰り温泉施設「男鹿の湯」(徒歩3分、冬季休業) | ◇ | ||
上三依塩原温泉口駅 かみみよりしおばらおんせんぐち |
4.2 | 21.0 | 692.5 | 10.5 | 那須塩原市「ゆーバス」塩原温泉行 | ○ | ◇ | |
男鹿高原駅 おじかこうげん |
4.0 | 25.0 | 759.7 | 16.8 | | | |||
会津高原尾瀬口駅 あいづこうげんおぜぐち |
5.7 | 30.7 | 722.5 | 6.5 | 会津鉄道会津線 会津バス檜枝岐線(舘岩、檜枝岐、尾瀬御池・沼山峠方面) |
○ | ◇ | 福島県 南会津郡 南会津町 |
会津鉄道会津線へ直通運転 |
【凡例】
- 出札:◎=出札窓口あり、○=一部時間帯のみ出札窓口あり
- 配線:|=棒線駅(交換不可)、◇=交換可能駅、∨∧=単線と複線以上の境界駅、‖=複線以上の駅
- 平均勾配は駅間距離と両駅標高による単純計算のため、実際の勾配とは一致しない。
関連記事・参考リンク
- 上越線 - 同じく関東から尾瀬・雪国へのアクセス路線